終活にもう悩まない。おひとりさまが活用すべき死後事務委任契約

死後事務委任契約

日本は今、超高齢化社会です。
国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、2035年には人口の約半分(5割)が「おひとりさま」になると考えられています。このおひとりさまには、未婚の人だけでなく、配偶者と離別・死別した方も含まれています。

今回の記事のポイントは、下記の3つです。

  • 終活での「おひとりさま」には、子どもや親族がいない方だけでなく、親族がいても疎遠であったり頼れない方も含まれる。
  • 死後事務の手続きを行えるのは、基本的に親族であるため、頼れる親族がいない場合は、「死後事務委任契約」を結んでおくことが有効。
  • 死後の手続きは、「財産」と「その他の死後事務」に分けられるため、全てに対応するためには、「遺言書」と「死後事務委任契約」の両方が必要となる。 

今後は、高齢のおひとりさまが増えていくことが予想されます。そうなると、認知症対策だけではなく「死後の手続き」への対策も必要となります。
今回の記事では、おひとりさまの対策として知られる「死後事務委任契約」について解説していきます。

終活における「おひとりさま」とは?

いわゆる「おひとりさま」と聞くと、「生涯独身の方」や「配偶者に先立たれた子どものいない方」を想像されるのではないでしょうか。近年では、「おひとりさまの終活」もよく耳にすると思います。
しかし、「終活=人生の終わりのための活動」という視点で見た場合、上記の方だけがおひとりさまに当てはまるわけではありません。
なぜなら、終活において自分の死後の手続きである葬儀やお墓のことなどを考える場合、同時にその「手続を行う人」を考えなければならないからです。

つまり、自分の死後の手続きを任せる方がいない方は「おひとりさま」に該当すると考え、準備をしなければならないということです。
その意味においては、親族はいても疎遠である場合や、迷惑をかけたくないと考えている場合もおひとりさまであり、親族や子どもがいない夫婦も、いずれはおひとりさまとなる可能性があります。

 

死後の手続きを行うのは誰か

「死」はいつか必ず訪れます。
そして、人が亡くなれば、死亡届の提出や、葬儀の手配、携帯電話の解約など様々な手続きを行わなければなりません。(これら死後に行う事務のことを「死後事務」といいます。)
終活というと、葬式やお墓のこと、自分が亡くなった後の自宅のことなど、「自分がどうしたいのか」ということに目を向けますが、意外と「死後事務を誰が行うのか」は忘れられがちです。しかし、どれだけ自分の希望があったとしても、それを行ってくれる人がいなければ、自分の想いは実現しません。

では、死後事務は誰が行ってくれるのでしょう。友人や役所でしょうか。

死後の手続きを行うのは、「親族」です。
残念ながら、死後の手続きを役所が行ってくれるということはありません。身寄りがなく、火葬やお墓に納骨したりする人がいない場合、自治体が遺族の代わりに埋葬しますが、役所が行えるのはここまでです。
そのため、身寄りがいない方でも遺体が埋葬されないということはありませんが、死後の手続きはこれだけではありません。たとえ信頼できる友人がいた場合でも、友人ではこれらのことを行うことができないことにも注意しなければいけません。

このように、基本的に死後事務は、残された親族しかできないということを覚えておかなければなりません。
そのため、自分の死後事務を頼める親族がいない場合には、対策が必要になるということです。

 

死後事務委任契約とは?

死後事務を行うのは「親族」とお伝えしました。
では、親族がいない方や、親族がいても頼れない「おひとりさま」は、死後の手続きをどうすればよいのでしょうか。そのような方の助けとなるのが、「死後事務委任契約」です。

死後事務委任契約とは、本人が第三者(個人、法人を含む。)に対して、亡くなった後の諸手続、葬儀、納骨、埋葬に関する事務等に関する代理権を与えて、死後事務を委任する契約のことです。

死後事務委任契約では、下記のようなものを委任します。
・死亡届の提出
・葬儀・火葬に関する手続き
・埋葬・散骨等に関する手続き
・供養に関する手続き
・健康保険の手続き
・病院・施設等の退院・退所手続き・精算
・車両の廃車手続き・名義変更
・運転免許証・パスポートの返納
・遺品整理
・携帯電話・インターネットの解約
・住民税や固定資産税等の納税手続き
・遺産や生命保険等に関する手続き

死後事務委任契約は、誰とでも結ぶことができますが、一般的には、弁護士・司法書士などの法律の専門家に依頼されることが多くなります。死後事務は多岐にわたり、慣れていないと面倒な手続きもあります。
先程もお伝えしましたが、どんなに自分の希望を伝えても、それが実行されなければ意味がありません。実際に死後事務が行われる時に、本人は亡くなっています。そして、おひとりさまの場合、それを見届ける親族もいません。

つまり、お願いしたことが本当に実行されたかの確認ができないのです。

そのため、死後事務委任契約を結ぶ際には、「誰に任せるのか」を慎重に判断しなければなりません。また、おひとりさまの対策では、本人の判断能力や体調の変化など、委任契約を結んだ時から何か問題が起きていないかを把握しておかなければ、次の対策につなげることができません。
そこで、死後事務委任契約は「見守り契約とセット」で結ばれることが一般的です。自分の体調などに変化があっても、それを死後事務を任せた人に知らせることができなければ意味がないからです。
死後事務委任は、契約書の作成から、見守り、死後事務の実行と専門的な知識が必要であることを考えると、法律のプロに依頼されることをお勧めします。

 

死後事務委任契約にかかる費用は?

死後事務委任契約を専門家に依頼した場合、専門家に支払う報酬が発生します。報酬は、どこまでを依頼するかや、委任する専門家によっても異なるため、一概には言えませんが、50万円から100万円くらいと言われています。また、専門家への報酬とは別に、実際手続きにかかった実費も必要となります。
そのため、死後事務委任契約を専門家に依頼する場合には、実費を含めた金額が必要となることに注意しなければいけません。
そして、費用は、死後事務委任契約を結んだ際に「預託」しておくことが一般的です。なぜなら、本人が死亡した後は、相続人でなければお金を引き出すことができないためです。
そのため、生前まとまったお金を用意して預けておく必要があります。まとまったお金を預けるという点から考えても、死後事務委任契約は信頼できる人を探すことがとても重要です。

 

遺言書との違い

相続対策として一般的なのは「遺言書」です。しかし、遺言書で死後の手続き全てを対応できるわけではありません。
遺言書で対応できるのは、あくまで「財産」の処分や名義変更という財産の承継に関することに限られます。遺言書に葬儀に関することなどを記載することもできますが、遺言に記載できる事項は法律で定められているため、葬儀などの事務手続きに関する部分に法的な効力はありません。

先程からお伝えしているように、死後の手続きは財産の承継だけでなく、事務処理も含まれます。
そのため、おひとりさまの対策では、「遺言書」と「死後事務委任契約」の両方が必要となるのです。

まとめ

今回の記事のポイントは、下記の3つです。

  • 終活での「おひとりさま」には、子どもや親族がいない方だけでなく、親族がいても疎遠であったり頼れない方も含まれる。
  • 死後事務の手続きを行えるのは、基本的に親族であるため、頼れる親族がいない場合は、「死後事務委任契約」を結んでおくことが有効。
  • 死後の手続きは、「財産」と「その他の死後事務」に分けられるため、全てに対応するためには、「遺言書」と「死後事務委任契約」の両方が必要となる。 

今回の記事では、おひとりさまの対策として知られる「死後事務委任契約」について説明していきました。

実際にこのようなご相談がありました。

生前全く交流のない、生涯独身の女性(叔母)がいました。叔母が自宅で一人で亡くなり、警察から相続人にあたる相談者の方に連絡が入りました。相談者の方には兄弟がおり、叔母の近くに住んでいる兄弟もいましたが、なぜか遠方の相談者の方に話がきました。
警察の話では、他の兄弟は全員、遺体の引き取りを拒否したそうです。そのため、相談者の方が自己負担で、火葬やお墓の手続きを取られました。
自宅が叔母の名義であったため、その自宅の処分の相談でしたが、遺産を調べたところ、多額の預金があることが判明しました。
今まで叔母のことで連絡を取ろうとしても全員無視していましたが、財産を分配したい旨の連絡を入れたところ、全員が話し合いに応じました。

悲しいことですが、死後の手続きを何もしなくても、相続人には財産をもらう権利があります。亡くなってしまえば、親族がどのような対応をとったかを本人が知ることはありませんが、そのような扱いを受けていたと思うと、とてもいたたまれない気持ちになりました。

また、手続きに対応した相談者の方も、突然まとまったお金の負担を強いられたため、とても不安な気持ちになられていました。結果的には、負担したお金以上の遺産を手にすることができましたが、遺体の引き取りをした時点では想像もしていませんでした。

このように、自分が亡くなった後のことを考えることは自分のためだけではありません。残された家族のためにも、いわゆる「おひとりさま」に限らず、相続対策や終活について考えておくことはとても大切です。

無料ダウンロードはこちら

無料相談はこちら

お問い合わせはこちら

最近の記事

PAGE TOP